東京北区・王子にある王子神社を訪問しました。
王子神社は東京十社のうちの一つで、最も北に位置しています。
元亨2年(1322)、豊島郡を支配していた豊島氏が熊野権現から王子大神を勧請したことが創建とされています。
王子を勧請しておまつりしたことで村名が王子に変わり、現在に至っているそうです。
地名は変わらないものですね。
JR王子駅から親水公園のそばを通っていきました。
朝が早かったので遊んでいる子どもはいませんでしたが、紅葉がきれいでした。
神社に続く坂を上っていくと樹齢600年と考えられているイチョウの大木があります。
高さは24メートル。大きいです。東京都の天然記念物に指定されています。
おみくじの神歌が掲示されている看板を通り過ぎると境内です。
権現造りの社殿はどっしりとした感じがしました。
おまつりされているご祭神は伊邪那岐命(いざなぎのみこと)、伊邪那美命(いざなみのみこと)、天照大御神(あまてらすおおみかみ)、速玉之男命(はやたまのおのみこと)、事解之男命(ことさかのおのみこと)の五柱です。これらの神々を総称して王子大神というそうです。
正面の鳥居を入ったところに立派なお神輿が展示されていました。
王子神社では8月に「槍祭」という祭りが行われます。「御槍(おやり)」という槍の形をしたお守りが出ることから「槍祭」と呼ばれているそうで、神輿渡御の他、日本三大田楽の一つという古式ゆかしい田楽舞が奉納されます。
境内社に関神社という「髪の祖神」をおまつりした神社があります。
ご祭神は蝉丸公、逆髪姫、古屋美女。なんだか、インパクトが強そうな神々です。
蝉丸は百人一首の「これやこの 行くも帰るも別れては 知るも知らぬも 逢坂の関」という歌の作者ですが、生没年不詳の謎に満ちた人物です。
盲目の琵琶の名手で、逆だった髪を持つ姉・逆髪姫のために侍女の古屋美女にかつらを作らせたということから髪の神様とされています。
「蝉丸」という能があります。
盲目のため逢坂山に捨てられた蝉丸。
悲しみの琵琶を奏でていると、逆髪姫が、琵琶の音に導かれて現れる。
逆さまに生えた髪をもつ逆髪姫は不遇のあまり、狂人となっていた。
逢坂山で出会った二人はお互いの不幸な境遇を語り合うも、やがて別れていく。
悲しい話です。
玉垣にはたくさんのかつら関係の業者、会社の名前があり、大きな毛塚が建っていました。
大きなイチョウ、立派なお神輿、ユニークな関神社と、いろいろなエピソードがある王子神社でした。