乃木神社

東京メトロ乃木坂駅の近くに鎮座されている乃木神社は大正12年(1923)に創建されました。
ご祭神は乃木将軍と妻の静子夫人です。ご神徳は「忠誠」で、文武両道の神であり夫婦和合の神でもあります。

神社の前の道は乃木坂です。勾配は6.5%もあり、ちょっと急な坂になっています。
江戸時代、この坂は幽霊坂と呼ばれていましたが、乃木神社ができてから乃木坂と改名されたそうです。

乃木坂を上がると乃木公園があります。
公園の緑と超高層ビルのコントラストに超近代的な都会らしさを感じます。
この場所は乃木将軍の屋敷の一部でしたが、将軍の遺言により東京市に寄贈され、公園として整備されたものです。

乃木神社の鳥居をくぐって中に入ると、境内は意外と広いと思いました。
結婚式の写真を撮っているカップルがいました。
乃木神社ではご祭神の乃木将軍夫妻にあやかって「よりそひ」をテーマにした結婚式をアピールしているようです。
2021年には夏木マリさんが乃木神社で結婚式を挙げました。

境内の奥には立派な拝殿があります。
神社創建時の社殿は東京大空襲で焼失し、現在の建物は昭和37年(1962)に再建されました。

摂社として正松神社がありました。ご祭神は玉木文之進と吉田松陰です。
少年時代、乃木将軍は玉木文之進に教わりました。玉木文之進は吉田松陰の叔父で、松下村塾の創始者です。
乃木将軍も勤王の志士と同じく、幕末の激動の中で育ったのですね。

乃木将軍は日露戦争後、学習院院長を務められました。軍人として軍功を挙げられただけではなく、教育者としても優れた人物でした。
教育の碑には明治天皇から賜った御製が刻まれています。

教育
いさをある人を をしえの親にして おほしたてなむ やまとなでしこ

乃木将軍を教育者として日本の未来を担う子どもたちを育てたいという天皇の願いが込められた歌です。
乃木将軍もこれに応え、学生たちと生活をともにして自ら手本を示し、「親父」と慕われたそうです。
乃木将軍の歌があります。

寄宿舎で たのしきことを かぞふれは 撃剣音読 朝めしの味

一生懸命教育にあたったことを感じさせる歌です。

宝物館には乃木将軍の像や将軍がお書きになった書など数々のものが展示されていました。下の画像は辞世の句です。

うつし世を 神さりましし 大君の みあとしたひて 我はゆくなり

乃木神社を訪問させていただいて、乃木将軍のことを知ると、背筋がピンと伸びる気がしました。
本当にまじめで、忠義心のあついストイックな人。まさに軍人の鑑だと感じます。
でも、こういう人と一緒に仕事をすると、それはそれで、扱いに困るかもしれないとも思いました。

メトロ乃木坂駅に向かう道すがら、乃木坂46のポスターがありました。12月3日は4期生のお誕生日だそうです。

乃木神社・乃木将軍でキリッと引き締まった心持ちが、ほどよく中和されました。