立山黒部アルペンルート

立山黒部アルペンルートを長野(扇沢)から富山(立山)まで通り抜けました。

たくさんの乗り物を乗り継いで立山を突っ切っていきます。

扇沢

スタートは扇沢駅です。
関西電力が運営しており、観光客を電気バスで黒部ダムまで運びます。天気の良い日でたくさんの観光客が集まっていました。

駅の正面には扇沢総合案内センターがあります。
2階がトロバス記念館となっていて、トロリーバスの内部や黒部ダム建設がいかに難工事であったかがわかる展示がされていました。

黒部ダム

電気バスに乗って黒部ダムまで、ほとんどトンネルの中を走りました。所要時間は約15分。あっという間でした。

黒部ダムは全長492メートル、高さ186メートル、貯水量約2億トン。
本当に大きいです。そして、階段の上り下りがきついです。

観光放水のシーズンからはずれていたのですが、この日は放水をやってくれました。放水の様子が見られてよかったです。

「尊きみはしらに捧ぐ」という殉職者慰霊碑がありました。

扇沢のトロバス記念館に黒部ダムのトンネル工事の模型があります。
トンネル掘削工事は本当に難工事で、特に破砕帯と言われる地層では、トンネル内に毎分660リットルの水が湧き出し、工事が中断する事態も起きました。
しかし、知恵と持てる限りの力を結集して1963年に黒部ダムは完成。
工事期間7年、作業員の延べ人数は1000万人の大工事。
171人もの殉職者が出たのですね。

黒部ダムは約100万戸の家の1年分の電力を発電しています。
この工事にかけた人々、そして黒部ダムを運営してくれている人たちに敬意と感謝を表したいと思います。

黒部平

黒部ダムの堰堤を歩いて黒部湖駅へ行き、次はケーブルカーに乗って黒部平へ上がっていきます。
黒部平駅の標高は1828メートルで、日本で最も標高の高い鉄道駅だそうです。

黒部平の碑の向こうに立山がくっきりと見えます。
雲一つない青空です。

大観峰

次はロープウェイで大観峰まで上がり、トロリーバスに乗り換えます。
バスは長野から富山県へ、立山を貫通する立山トンネルを走ります。
2024年12月1日からは電気バスに変わりましたが、このときはまだトロリーバスでした。

アルペンルートが全線開通したのは1971年。最もたいへんだったのが立山トンネルの掘削でした。
ここでも黒部ダムと同様に破砕帯が現れ、毎分63トンもの水が噴き出し、工事をストップさせました。
破砕帯の区間が青くライトアップされていました。

室堂

立山トンネルを抜けると室堂です。
立山がくっきりと見えました。

立山玉殿の湧水はおいしい水として「全国名水100選」にも選ばれています。
立山トンネルを掘削したときに問題となった破砕帯から湧き出ている水で、一日2トンもの水量があるそうです。

玉殿の名は立山の開山縁起から取られています。

大宝元年(701)、佐伯有頼(さえき ありより)は父が大切にしていた白鷹をつれて狩りに出かけたが、白鷹に逃げられてしまった。
有頼が白鷹を探していると、熊が襲いかかってきた。
矢を射る有頼。
矢は熊に命中したが、死にはせず、逃げていった。
有頼は熊が流した血の痕を追いかけた。
すると、逃げていた白鷹も現れ、熊といっしょに玉殿窟(たまどののいわや)に入っていくのが見えた。
有頼が洞窟に入ると、そこには矢が刺さった阿弥陀如来と不動明王が立ち並んでいた。
阿弥陀如来に向けて矢を放ったことを知り、おそれおののく有頼に阿弥陀如来は立山を開山するよう諭した。
その後、有頼は出家して名を慈興(じこう)と改めて立山を開山した。

1300年も昔の話です。服装なんかも今とは違って貧弱だったろうから、ここまで登ってきたのはたいへんな勇気と好奇心があったのだと思います。

戦国時代の武将・佐々成政が厳冬期に北アルプスを越えたという話もあります。
実際はどうだったのでしょうか。
雪が降る前の天気の良い日はこんなにもきれいですが、冬は本当に大雪が降るので、厳冬期にこの山を越えるというのはかなり難しそうです。

美女平

室堂から立山ケーブルの美女平駅まではバスで移動です。
室堂からかなり下ったと思ったのですが美女平駅の標高は977mもありました。

駅前には男女の恋の願いを叶えるという大きな美女杉が立っています。

立山を開山した佐伯有頼には許婚(いいなずけ)の姫がいた。
有頼が立山へ登るとき、一緒にいこうと追いかけたが、有頼に追い返された。
どうしてもついて行きたい姫は下山の途中に見つけた大きな杉に向かって祈った。
「美しき 御山の杉よ 心あらば わがひそかなる祈り ききしや」
その後、二人はめでたく結ばれた。

立山

美女平駅からはケーブルカーに乗って終点の立山駅につきました。

長い旅でした。
途中で観光もしながら、扇沢を9:30にスタートして、立山に着いたのは17:00。

扇沢 ⇒ (電気バス) ⇒ 黒部ダム ⇒ (徒歩) ⇒ 黒部湖 ⇒ (ケーブルカー) ⇒ 黒部平 ⇒ (ロープウェイ) ⇒ 大観峰 ⇒ (トロリーバス) ⇒ 室堂 ⇒ (バス) ⇒ 美女平 ⇒ (ケーブルカー) ⇒ 立山

一日で、こんなにたくさんの乗り物に乗ったのは初めてです。
天気も良くて、きれいに立山を見ることができました。
すごく満足した気分になりました。