高円山の中腹に位置する白毫寺を訪問しました。
「ながめのよい花の寺」という看板のところから、石段を上っていきます。

ちょっと疲れたなと思うと、ようやく山門が現れました。

白毫寺は真言律宗の古い寺で、天智天皇の第七皇子である志貴皇子の山荘が始まりと伝えられています。
また、鎌倉時代に興正菩薩叡尊によって再興されたといいます。興正菩薩叡尊は真言律宗の開祖で、その総本山は奈良・西大寺です。
戦国時代の兵火で堂宇は焼失しましたが、江戸時代に入り復興されています。
現在の本堂はその時の建物だそうです。
本堂の中に聖徳太子、二歳像がありました。
ふっくらした幼子の顔。でも、しっかり手を合わせている。聖徳太子は小さいときからお利口さんだったのですね。

白毫寺は花の寺ということですが、訪れた時期が悪くて花は咲いていませんでした。
天然記念物の五色椿も全く花は咲いてませんでした。
この五色椿は奈良三名椿のひとつで紅色、白色、ピンクを基本にさまざまな色の花が咲くそうです。五色椿は3月下旬から4月中旬が見頃ということです。できれば、その頃にもう一度きたいと思います。

宝蔵の中には本尊・阿弥陀如来坐像、文殊菩薩坐像や地蔵菩薩立像など平安時代や鎌倉時代に造られた像がたくさん並んでいました。
よくぞ今までこういう文化財を残してくれたものだと感心しました。
仏像の中には閻魔大王や太山王という、あの世の裁判を行う神様もおられました。閻魔大王は迫力ある憤怒のお顔をされています。あの世で、このお顔で迫られたら嘘はつけないでしょう。
興正菩薩叡尊の像もありました。なんだか、おじいちゃんの顔をされていて、親近感を持ちました。

御影堂の中には、少しうつむき加減で下の方を見ておられる像がありました。
江戸時代、白毫寺を復興したという空慶上人でした。
なぜ正面を向いた像ではないのか? 不思議に思いました。

高円山の中腹にある白毫寺からは奈良市街が一望できます。
遠くにはかすみがかかった生駒の山々が見えました。
