四天王寺

春の穏やかな日差しの下、四天王寺に行ってきました。
境内はたくさんの観光客でにぎわっていました。

聖徳太子によって推古天皇元年(593)に創建された四天王寺は1400年以上の歴史があります。創建から伽藍の配置は現在と同じで、南大門、中門、五重宝塔、金堂、講堂が一直線に並んでいたとされています。
また、敬田院、悲田院、施薬院、療病院という4つの施設が設けられました。これらの施設は現代の福祉施設のような役割を担っていたと考えることもできます。
施薬院では聖徳太子が勝鬘経を講じられ、現在、愛染堂勝鬘院が建っている場所にあったと伝えられています。

石の鳥居

西門の前に大きな石の鳥居があります。鳥居の中央にある扁額には『釈迦如来 転法輪処 当極楽土 東門中心』と書かれています。「お釈迦様が説法を説くところであり、ここが極楽の東門である」という意味だそうです。
現在の地形からは考えにくいですが、昔は四天王寺のすぐそばまで大阪湾が迫っており、水平線に沈む夕日を眺めることができました。

沈む夕日を見て瞑想する修業を日想観といいます。
四天王寺では現在でも日想観が行われています。
鳥居の中心を夕日が沈んでいく春分の日と秋分の日には、多数の人が参加するそうです。
先ほどの鳥居の扁額も、極楽の東にある鳥居から西方の極楽に入っていくという願いが込められているのだと思います。

中門

大きな仁王様がいらっしゃいます。重さは約1トン、身長は5.3メートルで、奈良東大寺の仁王像に次いで国内第2位の大きさとのことです。
赤と青に彩られた仁王様、朱色の赤門の大きな屋根。金色に輝く鴟尾と五重塔の金色の相輪が、一つの建物のように調和しています。

五重塔

五重塔は昭和34年(1959)に再建されました。
内部に入り、らせん階段で上がることができました。おびただしい数の五重塔のミニチュアのようなものが並んでいます。これは納経塔といい、写経や願い事を書いたものが納められているそうです。

金堂

お釈迦様の舎利を頭にいただく「舎利出し」という法要が行われています。金堂内で参列させていただきました。厳かな儀式でした。

講堂

聖徳太子が法華経、勝鬘経を講義したという講堂には大きな仏像が2体安置されていました。薄暗い堂内に光り輝く阿弥陀如来と十一面観音様です。厳かに佇んでおられ、思わず手を合わしてしまいました。

聖霊院太子殿

聖徳太子をお祀りする堂です。前殿と奥殿からなり、前殿には聖徳太子十六歳像が、奥殿には聖徳太子四十九歳像が安置されています。

阿弥陀堂

法然上人二十五霊場の第六番霊場です。横には法然上人の像がありました。
法然上人51歳の時に、慈円僧正の招きで四天王寺に参詣して、日想観を修せられたそうです。

亀井堂

亀井堂では経木流しが行われていました。
湧き出る「白石玉出の水」で供養した経木を流すと、極楽往生が叶うとされています。

四天王寺では宗旨・宗派を問わず供養をしていただけるそうです。
五重塔の納経塔、金堂での舎利出し、亀井堂の経木流しを見て、四天王寺が今も信仰の場として大切にされていることを改めて感じました。