岐阜大仏・正法寺

大仏殿の中に入ると、その大きさに息をのみました。
柔和なお顔で、微笑んでおられるような表情です。

高さが13.6メートルで、乾漆仏としては日本最大の仏様です。
また、明治以前に造られた大仏の大きさランキングでは、2位の大きさです。

  1. 奈良の大仏 14.5メートル
  2. 岐阜大仏  13.6メートル
  3. 鎌倉の大仏 11.3メートル

乾漆仏とは、漆を用いて造形される仏像の総称で、軽量かつ耐久性に優れています。
主な技法として、粘土で像の形を作る脱乾漆(だっかんしつ)と、木で像の芯(木心)を作る木心乾漆(もくしんかんしつ)があります。

岐阜大仏は大イチョウを心材にし、木材で骨組みが作られ、竹で編んだカゴで形が整えられています。竹カゴの上に粘土を塗り、一切経などの経典が書かれた和紙を貼り、最後に漆を塗り、金箔で仕上げるという手法で造られました。

寛政3年(1791)に惟中和尚(いちゅうおしょう)が経典を集め始めましたが、肯宗和尚(こうしゅうおしょう)のもとで開眼供養が行われたのは天保3年(1832)です。完成までには41年もの歳月を要しました。
制作を開始した惟中和尚は文化12年(1815)に亡くなり、完成を見届けることはできませんでした。

大きな大仏様を安置している大仏殿は23.6メートルの高さがあります。
大仏殿には中国風の趣が感じられます。
これは、正法寺が黄檗宗のお寺であるためでしょう。

黄檗宗は、17世紀に来日した中国の僧・隠元隆琦(いんげんりゅうき)を開祖とする禅宗です。黄檗宗の寺院は「黄檗様式」という中国風の建築様式がとられているので、この大仏殿も、その流れをくんでいると考えられます。

また、大仏殿は耐震性に優れた建築です。マグニチュード8.0と推定される濃尾地震の際に倒壊を免れたことから、その建築技術が注目され、後の建築基準の参考になったと伝えられています。

大仏殿の中には大仏様だけではなく五百羅漢も安置されていました。
壁際に整然と並んだ羅漢様は、さまざまなお顔をしておられます。
500人もの羅漢様が集まり、人々を救ってくださるとの願いが込められているようです。

人々を救済するという強い思いがあったので、惟中和尚から肯宗和尚へと、2代にわたって続けられた大仏事業や、地震でも壊れなかった大仏殿の建立を可能にしたのだと感じました。