東京入谷・小野照崎神社

樋口一葉の『たけくらべ』に小野照崎神社のことが「小野照さま」と登場します。祭りが盛んであることが記されています。5月に例大祭が開催され、神輿渡御が行われます。
祭りの賑わいから大きな敷地を持つ神社かと想像していたのですが、社殿は意外とコンパクトでした。

ご祭神は小野篁(おののたかむら)公と菅原道真公です。
小野篁公はあの世に行き来して、閻魔大王の副官として活躍したという伝説を持つ平安初期の人物です。
漢詩の才能は白楽天に匹敵すると称され、法律に詳しい優秀な公卿でありながら、遣唐使の副官に選ばれるも、渡航を拒否して壱岐に流されるというエピソードを持っています。

小野照崎神社は仁寿2年(852)、小野篁公が東国へ下られた際に滞在された上野照崎に創建されたという歴史のある神社です。上野に寛永寺が創建されたときに現在地に移されました。

境内には富士塚をはじめ、庚申塚や「強烈な努力の碑」などの見どころが点在していました。

富士塚

富士塚は「下谷坂本富士」と呼ばれ、天明2年(1782)に築かれました。高さは6メートルあり、富士塚の山肌には富士山から運ばれた溶岩が使われています。
夏越の大祓と富士山の開山に合わせて6月30日と7月1日は一般に開放されるそうです。

庚申塚

庚申塚は「日本三大庚申」と呼ばれた「喜宝院 入谷庚申堂」から遷されたものです。
他の2つは大阪の「四天王寺 庚申堂」と京都の「大黒山金剛寺 庚申堂」です。

強烈な努力の碑

「強烈な努力の碑」は囲碁の藤沢秀行氏が書かれた「強烈な努力」が刻まれています。
藤沢秀行氏は当時の最高のタイトルであった棋聖戦を6連覇するという昭和を代表する棋士でした。天才肌で強かったけれどポカも多く、「ポカの秀行(しゅうこう)」とも呼ばれていたと記憶しています。
それにしても「強烈な努力」という言葉は力強いメッセージですね。

小野照崎神社はメトロ入谷駅から徒歩3分、JR鶯谷駅まで徒歩7分の近さです。
大都会の町中に歴史ある神社が鎮座し、お参りしている人がいることに、心が温まりました。