待乳山聖天・本龍院

待乳山聖天

浅草にある待乳山聖天。少し小高い待乳山に建てられたお寺です。
正式名称は本龍院。浅草寺の支院の一つです。

待乳山聖天の創建は推古天皇の時代、西暦595年とされています。

地中から突然霊山が湧き出でて、金の龍が天より舞い降りてきた。
その6年後、大干ばつに見舞われたとき、十一面観音菩薩の化身である大聖歓喜天が降臨され、苦しむ民をお救いになられた。

山が生まれ龍がおりてくるというファンタジーのあるストーリーです。
でも。干ばつがあったとき、苦しむ民を救うという出来事は実際にあったのだと思います。

境内に入ると、まず左手に子育てにご利益があるという歓喜地蔵尊、右手には出世観音が現れます。

子育てにご利益がある歓喜地蔵尊と二十八地蔵尊
出世観音

出世観音のうしろにあるのは瓦を重ねた築地塀です。江戸時代の名残を伝える唯一のもので、全長45m。

待乳山は隅田川を望む景勝地で、待乳山(真土山)の寺、築地塀が歌川広重の絵に描かれています。

歌川広重 東都名所真土山之図

売店ではお供えの大根が売られていました。
大根は深い迷いの心、怒りの毒を表し、大根をお供えすることによって、聖天様が心の毒を清めてくださって、心身の健康、良縁成就、夫婦、一家の和合をご加護していただけます。
1月には大根まつりが開催され、本尊にお供えされた大根を食べることができるようです。
この大根を食べると運気が上がりそうですね。
大根の先が二股になって、二本の大根が交わっている紋は夫婦和合をあらわしているのでしょうか。ちょっと意味ありげです。

お供えの大根が売られている
大根をモチーフとした紋

また、巾着もいろいろなところで見られます。商売繁盛、事業繁栄のご利益を示しているそうです。
本堂の前の線香台は巾着の形をしていました。

巾着の形をした線香台

本堂では朝早くからおまいりしている方がおられました。
聖天様信仰が熱心に行われています。
寺では、密教の修法のなかでも最も深秘の法である浴油祈祷が毎朝行われているそうです。
油を浴びると書くので、油によって悪いものを清め流すのだと思います。

本堂

天狗坂の階段を降りるとモノレール(さくらレール)がありました。
待乳山に登るモノレールです。
待乳山は標高は約10mで東京都で一番低い山といわれており、さくらレールは日本一番短いモノレールだそうです。

さくらレール
標高10mの待乳山に登る

創建のエピソード、大根と巾着、浴油祈祷、さくらレールと興味津々な楽しいお寺でした。
こういうスピリチャルなものが支持され残っているのはすてきだと思いました。