大阪曽根崎にあるお初天神にお参りしました。
お初天神の正式名は露天神社(つゆのてんじん)。創建1300年以上という歴史ある神社です。
お参りしたのは土曜日で、たくさんの人で賑わっていました。
なんとなくカップルでお参りされている方が多いように見えます。
お初天神が恋人の聖地だからでしょうか。お初天神が恋人の聖地になったのには一つの事件がキッカケです。
元禄16年(1703)に境内の森で遊女「お初」と平野屋の手代「徳兵衛」が心中するという事件が起こりました。
そして、それを題材に近松門左衛門が人形浄瑠璃「曽根崎心中」を書くと大ヒット。
それ以来、ヒロインの名前「お初」にちなんで「お初天神」と呼ばれるようになったのです。
社殿左横の一角はまさに恋人の聖地の雰囲気にあふれています。
お初と徳兵衛の間にあるのは「恋人の聖地」の証明版。
「恋人の聖地」はNPO法人地域活性化支援センターがプロポーズにふさわしいロマンティックな観光スポットを選定しているもので、全国で約200か所あるそうです。
お初、徳兵衛の絵の下にはたくさんのハート絵馬がかけられています。
願いが叶っていたらいいですね。
近松門左衛門の「曽根崎心中」で、お初と徳兵衛が心中しようと森へ入っていくところを描写した文章、「この世の名残り」が名文として知られています。
この世の名残り 夜も名残り 死にに行く身を たとふれば
あだしが原の 道の霜 一足づつに 消えてゆく
夢の夢こそ あはれなれ
あれ数ふれば 暁の 七つの時が 六つ鳴りて
残る一つが 今生の 鐘の響きの 聞き納め
寂滅為楽と 響くなり
鐘ばかりかは 草も木も 空も名残と 見上ぐれば
雲心なき 水の音 北斗は冴えて 影映る
星の妹背の 天の川
梅田の橋を 鵲の 橋と契りて いつまでも
我とそなたは 夫婦星 かならず添ふと 縋り寄り
二人が中に 降る涙 川の水嵩も 増さるべし
2人はあの世で幸せに暮らしているのでしょうか。
悲劇に終わったラブロマンスが大ヒットするなんて。江戸時代の大阪人の感性もすばらしいですね。