国宝 朝光寺

朝光寺を訪問しました。 

朝光寺は白雉二年(651)に法道仙人が開基したと伝えられています。
法道仙人はインドから雲に乗って飛んで来たとされる仙人で、法華山一乗寺など播磨の多くのお寺を開基したとされる人物です。

朝光寺の縁起には次のような話が伝えられています。

法華山一乗寺で修行していた法道仙人は、毎朝東方の峰に瑞光を見て、霊物があるのだと思い、ある日、その光を追ってその地を訪れた。
すると、冠を被り美しい衣を付けた非凡な様子の老人が現れる。
「長い間待っていました。この山には霊木があり、光を放っています。この霊木で仏を彫り、伽藍を建立して祀りなさい。私が仏法を守りましょう」と言う。
仙人が名を尋ねると、「住吉大神」と名乗り、その証拠として、かたわらの池の中に塩水をわき出させた。これが鹿野冷泉である。
仙人は山中に入って霊木を見付け、千手観音菩薩像を彫って祀り、脇に住吉明神を祀った。
孝徳天皇は仙人に深く帰依し、仏法修行
の道場として僧坊六舎を建立、住吉明神が現れた地を「鹿野」とし、霊木が朝な朝なに光を放ったという由緒から「朝光寺」と名付けたという。

朝光寺という寺名は、大化五年(649)、毎朝この地から光が出て皇居にまで達し、不思議に思った天皇が法道仙人を呼んで理由を尋ねたことから名付けられたともいいます。

播磨学研究所編「播磨の国宝」より

朝光寺は国宝に指定されていますが、観光地化された感じはありません。国宝であることを示す看板があるだけで、ひっそり建っています。

法道仙人が開基した当時、朝光寺は権現山にあったが、平安末期の文治五年(1189)に現在地に移ったそうです。

本殿は国宝です。
応永二十年(1413)に再建されたと考えられています。

本殿

本殿以外の建物も歴史があります。

鎌倉時代建立の鐘楼(重要文化財)
宝永七年(1710)建立の多宝塔

仁王門は江戸時代の建立です。

仁王門を出て、つくばねの滝に行きました。

「つくばね」というのは羽子板の羽に似た果実がなる植物で、加東市の天然記念物に指定されているそうです。
大きな滝ではないですが、可愛らしくきれいな感じがしました。

周りに交通機関もなく、観光地化されていないということで、国宝・朝光寺はひっそりしていました。こういうあり方もいいなと思いました。