加古川・尾上神社

尾上神社の境内には謡曲『高砂』に謡われた霊松『尾上の松』があります。
尾上神社の住所は加古川市になっていますが、昔はこのあたりは高砂と呼ばれていたようです。
高砂市の高砂神社に相生の松がありまするが、謡曲『高砂』はもともとは尾上神社のマツを指していたようです。

御祭神は海の神様の住吉大明神で、底筒男命(ソコヅツオノミコト)、中筒男命(ナカヅツオノミコト)、表筒男命(ウワヅツオノミコト)、息長足姉命(オキナガタライメノミコト)です。

神門をくぐって左手に8代目、9代目の尾上の松が育てられています。

松の前にある大きな石碑に謡曲『高砂』の一節が刻まれています。

所は高砂の尾上の松も年ふりて、老の波も寄り来るや、 木の下陰の落葉かくなるまで命ながらへて なほ何時までか生きの松、それも久しき名所かな

右手の方には尾上の松が植わっています。7代目の尾上の松です。

赤マツと黒マツが根のところから合わさっています。

本殿の横には『片枝の松』があります。


神功皇后のみあとをしたって枝葉ことごとく東に向って張ったといわれる。その形状は、あたかも龍のうずくまった様にて、千載霜におごる色深く、誠に希世の老松であったが、昭和二十四年枯死。現在は三代目である。

案内看板より

尾上神社は松以外に銅鐘が有名です。『尾上の鐘』といいます。
高麗時代 1011年頃の鋳造という銅鐘で、国の重要文化財に指定されています。
謡曲『高砂』に「高砂の尾上の鐘の声すなり」と謡われています。

どんな音がするのか聞いてみたいのですが、鐘の下部の縁にひびが入っており、鳴らすことができません。

『尾上の鐘』を収める倉

高砂神社が謡曲『高砂』の舞台だと思っていましたが、尾上神社がその舞台だったようです。

※謡曲「高砂」の歌詞

高砂や この浦舟に 帆を上げて
この浦舟に帆を上げて
月もろともに
出潮の
波の淡路の島影や 遠く鳴尾の沖過ぎて
はやすみのえに
着きにけり
はやすみのえに 着きにけり

四海(しかい)波静かにて
国も治まる時つ風
枝を鳴らさぬ 御代(みよ)なれや

あひに相生の松こそ
めでたかれ
げにや仰ぎても 事も疎(おろ)かや
かかる代(よ)に住める
民とて豊かなる
君の恵みぞ ありがたき
君の恵みぞ ありがたき