シドニー・オペラハウス

シドニーオペラハウスは形も印象的な世界遺産に登録されている建築物です。
竣工したのは1973年。1959年の着工から14年かけて建設が行われました。

今回、オペラハウスのガイドツアーに参加して、内部を見て回ることができました。
ガイドツアーは地下1Fのチケットブースから出発します。

ブースの周囲に展示された建設時の写真

オペラハウスはシェル型の外装の中にコンサートホール、オペラ劇場(ジョーン・サザーランド劇場)、レストランなどが設けられるという構造です。
設計者はデンマーク人のヨーン・ウツソン。
1957年のデザインコンテストで彼のデザインが選ばれました。
しかし、このときウツソンはアイディアを図にしただけで、構造設計などは一切やっていませんでした。
そういうことをやっていたら、あのデザインは作れなかったかもしれません。

1959年、ウツソンが監督になって工事が始まりました。
放物線形状のシェルを作ること、その形を保つことが非常に難しかったようです。
それでも、球をカットすることにヒントを得て、シェルの形状をどれも同じにする、くさび形の外装タイルを使って球面を表現するなどの画期的なアイディアを生み出しながら工事は進みました。

しかし、工期は遅れ、建設費は当初予算の何倍にもふくれあがります。
そして、建設主であるニュー・サウス・ウェールズ州の政権交代があり、新しい州政府とウツソンが対立。
結局、ウツソンは辞任し、デンマークに帰ります。
辞任したウツソンはその後、一度もシドニーに来ることはありませんでした。

ウツソンがいなくなった後をピーター・ホールたちが工事を引き継ぎ、ウツソンの計画を変更しつつ、オペラハウスは完成しました。

一度見たら、その形を忘れることはできないオペラハウス。
オペラハウスはシドニーのシンボルになりました。

ガイドツアーではいろいろなことを紹介していただきました。

① 天井などはコンクリート打ちっぱなしです。清潔な感じがします。

② 梁の中に数百万本のワイヤーが通っていて、シェルを支えているそうです。ヨットの帆のようなイメージでしょうか。

③ 百万枚のタイルで造られた外壁。どのタイルも同じ形状になるように工夫されていて、コストダウンと工期短縮になったそうです。

④ ガラスに人が写り込まないように傾斜がつけられた窓ガラス。
外がきれいに見えます。

⑤ 木材も使われています。曲線を描いていて、柔らかい感じがします。

建物の美しさを感じました。
こういうものを頭の中でイメージして設計した建築家というのは、まさに芸術家ですね。

1973年10月20日、エリザベス女王が来場し、オペラハウス開館。
2000年、レセプションホールの改装が行われ、ウツソンがデザインした内装が施される。
2003年、オペラハウス設計の栄誉をたたえ、ウツソンに勲章が授与される。
2007年、オペラハウスはユネスコ世界遺産に登録される。
翌2008年、ウツソン死去。90歳でした。

オーストラリアを去るとき、ウツソンには落胆と怒りがあったと思います。
でも、長い年月がたって、そういう思いが薄れていったとき。。。
自分の手で完成できなかったオペラハウス。
自分が思い描いたものと違ったところがあるにせよ、完成した姿を見られなかったのはかわいそうだなと思いました。

夜、オペラハウスではプロジェクションマッピングをやっていました。
テーマはアボリジニでした。オペラハウスが建っているベネロング・ポイントはアボリジニが祭祀を行ったという土地です。
20世紀の芸術作品、オペラハウスの物語がありました。