姫路文学館・竹久夢二展

姫路文学館で開催された竹久夢二展に行きました。

姫路文学館北館の1階にある姫路を説明する展示はいつ見ても楽しい。
播磨風土記にある神様の時代、姫路城の築城、お菊さん、黒田官兵衛と秀吉、池田輝政、千姫、お殿様たち、現代と遊びながら歴史を学べます。

竹久夢二は、一目で夢二だとわかる特徴のある美人画の作家と思っていました。

夢二は明治17年(1884)岡山県の生まれ。17歳で家出して上京。
20歳ごろから絵を描いて生活するようになったようです。

長髪でマンドリンを弾く写真が入り口に飾られていましたが、格好をつけた生意気な若者だったような感じです。

この特別展では夢二の絵、絵本、夢二と関係した女性など多数の展示がありました。

室の津
乙女十二ヶ月

夢二をめぐって3人の女性が紹介されています。

岸たまき

24歳で未亡人となった後、夢二と出会い結婚する。夢二より2歳年上の姉さん女房だった。
結婚は2年たらずで終わるが、その後も同居と別居をくり返し、3人の子供をもうけた。

岸たまき
三味線を弾くたまき

夢二がたまきと子供たちのために開店した「港屋絵草紙店」の店主となる。
店に出品した東郷青児との仲を疑われ、夢二に刺されるという事件もあった。

笠井彦乃

夢二が開店した「港屋絵草紙店」で出会う。当時、彦乃は18歳。夢二より11歳年下だった。
二人は京都で同棲するが、結核のため25歳で世を去る。
夢二が最も愛した女性といわれている。

笠井彦乃

お葉

彦乃の後に出会う。
画家のモデルをつとめていた。夢二の絵の構図そのものの写真が残されている。

お葉
読書をするお葉

絵の特徴

・大きくて、うるんだようなつぶらな瞳。
・夢みがちに愁いをふくんだやるせない表情。
・細身で八頭身という現代風のプロポーション。
といった夢二の美人画の特徴が記されていました。

夢二の代表作に「黒船屋」があります。
夢二の特徴が出た絵だと思います。
モデルはお葉さんでした。しかし、描かれたのは最愛の人 彦乃だといいます。

黒船屋

絶筆といわれる「舟泊り」も彦乃がモデルです。

舟泊り

この特別展で、夢二が絵だけではなく文章も書いたこと。描かれた女性たち、夢二の生きざまを知ることができました。

夢二郷土美術館

岡山・後楽園に隣接した夢二郷土美術館を訪問しました。
多数の作品が展示されています。
作品を見て、素人ながら絵が上手なんだと改めて思いました。個性の強い美人画のために絵の巧拙などは感じなかったのですが。そんなことを感じさせないところに夢二の凄さがあるのでしょうか。

夢二郷土美術館

この美術館には「黑の助」という黒猫がいます。「お庭番頭」という役についています。
大きな眼でじっと見つめられました。

黑の助

夢二生家記念館・少年山荘

夢二の生まれ故郷は岡山県瀬戸内市邑久です。夢二生家記念館として生家が公開され、そして夢二が東京で建てたアトリエ、少年山荘が復元されています。

夢二の生家
少年山荘

生家の一室でビデオが流れていました。歴史家の磯田道史さん(岡山県出身)が生家を訪れ、夢二について語っています。
磯田さんは「この家で夢二(本名 茂治郎)は「茂治郎、お口あ~ん」とか言われて、お母さんとお姉さんにかわいがられて育ったのではないか」と言います。

姉 松香は6歳年上。夢二が11歳のときにお嫁に行きます。
そのとき、夢二は自分お部屋の窓枠に「竹久松香」を鏡文字で書きました。
お姉さんが家を出ていってしまうのが悲しい、お姉さんが大好きだった気持ちが伝わります。

鏡文字で書かれた「竹久松香」

生家には夢二が昔を思い出して書いた「童子」という作品が展示されます。

「童子」

こんなふうに、遊んでいたのでしょう。でも、この絵、夢二以外は全員女の子のようです。
夢二は子供の頃から女性に囲まれ育ったのではないでしょうか。
こういう環境が、夢二の生き方、才能を作っていったのではないかと思いました。