姫路市伊伝居にある桑原神社には姫路市最古の狛犬があります。
姫路市教育委員会の説明板には伊伝居や神社の由緒、狛犬が説明されています。
伊伝居について整理すると次のようになると思います。
明治以前は「井出」または「出井」と書き、水が豊富な地域で、天皇家の荘園だった。
随願寺に白河法皇が御幸されたとき(康和5年 / 1103年)には仮殿が造営されたことがあった(増位随願寺旧記)。
元徳元年(1329)に、洪水で随願寺は白国山に移った(峯相記)。
住吉神社が現在の桑原神社となったと考えられる(飾磨群誌)。
桑原神社の狛犬は約250年前の明和元年の姫路市最古のものです。
姫路市の狛犬の古さランキングのベスト5は次のようになります。
- 伊伝居・桑原神社(明和元年 / 1764年)
- 小坂・菅原神社内金刀比羅神社(天明4年 / 1784年)
- 青山・稲岡神社(寛政2年 / 1790年)
- 林田・祝田神社(寛政3年 / 1791年)
- 英賀宮・英賀神社(寛政6年 / 1794年)
桑原神社の狛犬のタイプは江戸狛犬だそうで、江戸系統の狛犬がここにあるのは謎だそうです。
姫路市には他にも大阪狛犬、尾道狛犬、伊部狛犬があり、姫路独特の狛犬もあるとのことです。
大阪狛犬:英賀神社、津田天満神社、魚吹八幡神社など
尾道狛犬:恵美酒宮
伊部狛犬:新次神社、梛神社
姫路独特:菅原神社内金刀比羅神社、稲岡神社、蒲田神社
大阪狛犬は大阪に狛犬を作る専門店があって、そこから購入して神社に奉納されたようです。
尾道狛犬や伊部狛犬は北前船で運ばれたといいます。
江戸時代の狛犬も商流や物流がビジネスのキーになっていたのですね。
でも、姫路独特狛犬もあります。姫路独特狛犬は奉納された時期が古く、大部分が夢前川流域の神社に置かれてあり、姿・形に共通のものがあるそうです。
これは、夢前川に近いところに住んでいた職人が、見たこともない狛犬の製作を頼まれ、クライアントの話を聞きながら、自分のオリジナルな想像も加えて創り上げた狛犬と思いたいです。
本記事は姫路市教育委員会の文化財見学シリーズ「『狛犬』をたずねて」を参考にさせていただきました。